医学ネタ

医師として本当に辛いとき【実体験をお話します】

医師として働くうえでやりがいがある仕事と感じる一方、辛いと感じることも多く経験します。

こういった苦悩を抱えながら日々の診療を行っていることを皆様に知っていただければ幸いです。

※あくまでも個人的な感想です。参考程度とお考え下さい。

知識がない

医師の仕事をする上で絶対必要な武器が知識です。

医師国家試験という超難関試験をクリアしているとはいえ、実際の臨床ではそれだけではほとんど役に立ちません。

専門へ進めば進むほどディープな知識が必要になってきますし、刻一刻と覚えなければならない知識はアップデートされていくため勉強しない医師は「ヤブ医者」になります。

年老いた医師の多くは途中で医療知識のアップデートが止まっていることが多く、間違った医療をしていることも多々見かけます。

知識がない医者はそれだけで罪です。

間違った医療を決して提供してはいけないと常々思いながら医療をしています。

そのため自身の知識が足りないと感じる日々で、自分の知らない知識にぶつかるたびに落ち込むことが多いです。

経験がない

知識と同様に必要となってくることが経験です。

知識に関しては教科書などを読めば一気に吸収することができますが、経験はなかなか難しいのが現実です。

経験というのは実際の医療現場の中で身についてくものでもあり、また病院毎にも必要な経験というのは変わっていきます。

また年数というのが信用度に深く関わってくる現実もあります。

いくら優秀な1年目の医師(研修医)であっても、おそらく20年目のポンコツな医者と比べると信用は得られないでしょう。

このため医師は年功序列が根強く残っており、優秀な人が活躍しにくい環境が未だにあるように感じます。

労働時間が長い

皆さんの労働時間はどれくらいでしょうか?

おそらく8時間前後に残業が月20時間といったところかと思います。

医師は病院によっては朝早くからカンファレンス(会議のようなもの)が始まり、それが終わったあとに日常業務が始まります。

日常業務の合間にも、病棟の患者さんの対応であったり、急患の対応に追われたりします。

当然日常業務も定時内に回らないことも多々あり、そのまま定時を過ぎても仕事をし続けます。

今の私の職場も月の残業はおおよそ100時間は超えていると思います。

若いうちはいいですが、臨床でしっかり働いている医師は年齢に関係なく労働時間が長時間の傾向があり、どんどんと体力的にきつくなってきます。

労働環境が悪い

医師の世界は年功序列がどうしても強く根付いています。

そのため体育会系の部活のように上の言うことは絶対という医師が多い印象です。

特に昔自身がひどい目にあった上司にあたるとその倍返しのように部下に強く当たったりすることも。

まさかこんなパワハラが、ということはどういった職種でも同じかとは思いますが、上が帰るまでは帰りにくかったり、例えば残業代を申請するのも上に合わせたりと気を遣うことも多々あります。

私自身有給をとろうとして申請書を提出したときに、勝手に破棄されていたこともあり大変つらい思いをしました。

 理不尽なことを言われる

上司だけではなく、患者家族や看護師などのコメディカルからも心無い言葉をうけることがあります。

日々の外来業務では丁寧な診療を心がけるとどうしても一人当たりの時間は長くなる傾向があります。

しかし、長時間待たせると患者は不満を持つようになり、診察時に怒る方も少なからず存在します。

では、1分以内の診察でいいじゃないかという声もありますがあなたはその診察で満足できますか?

医師の外来診療には大きな矛盾が存在していることを覚えておいてください。

また同じ現場で働く医師、看護師も実は勤務形態というのは大きく異なります。

医師は当直業務というと日勤→そのまま当直→日勤という形態が一般的に多く36時間連続勤務ということも割と多いです。

しかも寝れない時もあったりで翌日の日勤業務はフラフラの状態です。

一方で看護師は日勤、夜勤と仕事のすみ分けはしっかりされており医師ほどあいまいな仕事環境ではないです。

そのため些細なこと(翌日業務でもよいこと)でも深夜にかまわず電話をかけたり、逆に医師が業務を依頼するときに夜勤に入りかけた時間に日勤に声をかけると「私の仕事ではない」と突っぱねられたりと理不尽な状況になることが多々あります。

どれだけ説明しても患者家族の理解が得られない

病状説明するときにはできる限り難しい医療用語を使わないようにわかり易い言葉を選んでお話しますが、やはり患者も様々ですので理解度が全然違います。

高齢者に病状説明を何度行っても自分の病気が一体何なのかを理解が得られないことなど日常茶飯事ですし、若い方でもグーグルなどの検索などで自分の病気を調べて間違った解釈にもかかわらず、こちらが間違っていると怒ってくる患者もいます。

特に多いのが、十分な説明をした後でも新たな家族やキーパーソンが出てきて、また最初から説明させられる時は今までしてきた説明の時間がリセットされるため本当にきつい。

大事な人であれば必ず最初から説明には参加するようにしてもらいたいところです。

どうにもならない辛い時が医師にあることも知ってほしい

心身共にやられる前に、転職も考えてみてくださいね。