「大腸カメラって痛いですか?」——外来でも検査前でも、一番よく聞かれる質問です。正直に言うと、痛みの感じ方には個人差があります。でも、怖くて受けられないままでいることの方が、ずっとリスクが高い。この記事では、内視鏡専門医として日々大腸カメラをおこなっている立場から、患者さんがよく抱く不安に本音でお答えします。

「痛い」と感じる人は実際どのくらい?

結論からいうと、痛み止めの注射や眠くなる薬(鎮静)をうまく使った場合、強い痛みを訴える方は2〜3割程度というのが実感です。つまり7〜8割の方は「思ったより全然平気だった」と言って検査室を出ていきます。

何も使わない場合はこの数字がぐっと上がります。「痛かった」という経験談をネットで目にすることが多いのは、鎮静なしで受けた方の声が多いからかもしれません。

内視鏡医の本音:鎮静・鎮痛をうまく使えば、痛みはかなりコントロールできます。「前回痛かった」という方も、次回は薬の使い方を相談してみてください。遠慮せず「痛み止めをお願いしたい」と伝えるだけで全然違います。

どこが痛い?腸の「難所」を正直に教えます

大腸カメラは、肛門からカメラを入れて盲腸まで進めていきます。腸はまっすぐではなく、複数のカーブや折れ曲がりがあります。痛みが出やすいのは主にこの2か所です。

S状結腸(肛門から最初のカーブ)

S字に曲がっているため、カメラが引っかかりやすい場所です。「押されるような感じ」「お腹が張る感じ」が出やすいのはここです。体型や腸の形によって個人差が大きい場所でもあります。

横行結腸(お腹の真ん中あたり)

重力でたわみやすく、カメラが伸びてしまいやすい場所です。「お腹全体が引っ張られる感じ」が出ることがあります。

内視鏡医の本音:検査中に「押されますよ」「伸びやすいところなので少し感じるかもしれません」とお伝えするのは、患者さんに心の準備をしてもらうためです。急に感じると怖いですが、「あ、ここのことか」とわかっていると楽に受けられる方が多いです。

内視鏡医が痛みを減らすために意識していること

痛みが出るかどうかは、術者の技術にも大きく左右されます。私が特に意識しているのは「押しすぎないこと」と「水を使うこと」の2点です。

押しすぎない

カメラを無理に押し進めようとすると、腸が伸びて痛みが出ます。引いたり回したりしながら腸を手繰り寄せるようにして進めると、痛みが少なく済みます。焦らず丁寧に進めることが、結果的に一番早く盲腸に到達できる方法でもあります。

水を使って腸を広げながら進む

空気ではなく水を使って腸の内側を広げながらカメラを進める方法があります。空気に比べて腸への負担が少なく、張りや痛みが出にくいのが特徴です。すべての施設で採用されているわけではありませんが、痛みに敏感な方には特に有効な方法です。

受ける前に確認したいこと:鎮静・鎮痛の有無、使う方法は施設によって異なります。「前回痛かった」「不安が強い」という方は、予約時や診察時に遠慮なく相談してみてください。対応できる施設であれば、必ず配慮してもらえます。

それでも大腸カメラを受けてほしい理由

大腸がんは、日本人のがん死亡原因の上位に入る病気です。しかし早期に発見できれば、内視鏡での切除だけで治癒できるケースがほとんどです。大腸カメラはその早期発見のための、現時点で最も確実な検査です。

「怖いから」「痛そうだから」という理由で先延ばしにするほど、発見が遅れるリスクが高まります。40歳を過ぎたら一度は受けておくことを、内視鏡医として強くおすすめします。

まとめ

大腸カメラの痛みは、鎮静・鎮痛の活用と術者の技術によってかなりコントロールできます。「前回つらかった」という方も、担当医に相談することで次回は全然違う体験になる可能性があります。怖さで先延ばしにするより、一歩踏み出す方が絶対にいい。

  • 鎮静・鎮痛ありなら強い痛みを感じる人は2〜3割程度
  • 痛みが出やすいのはS状結腸と横行結腸の2か所
  • 「押しすぎない」「水を使う」技術で痛みは減らせる
  • 鎮静・鎮痛は遠慮なく相談していい
  • 40歳過ぎたら一度は受けてほしい検査