35歳・子2人の勤務医が大学院進学を決めた理由と本音
勤務医として10年以上のキャリアを積み、家庭もでき、生活も安定してきた35歳。
そんなタイミングで「大学院に行く」という選択が本当に正しいのか、正直めちゃくちゃ悩みました。
収入は下がる、自由な時間は減る、研究に強い興味があるわけでもない。
それでも進学を決めた理由と、今も抱えている不安について、同じ立場の先生方の参考になればと思い、ありのままを書いてみます。
なぜこのタイミングで大学院に行くことにしたのか
医局人事の流れ上、避けて通れなかった現実
医局に属している以上、ある程度の「順番」があるのは事実です。
先輩たちの進路を見ていると、学位を持っているか持っていないかで、その後のポジションや専門医取得後のキャリアに明らかな差が出ていることに気づきました。
もちろん、学位がなくても臨床で活躍している先生はたくさんいます。
ただ、医局内での役割分担や、将来的に大学に戻る選択肢を残すかどうかを考えたとき、「行けるタイミングで行っておく」という判断が現実的でした。
将来の選択肢を広げるための保険
開業が正解だとも、大学に残るのが正解だとも思っていません。
ただ、40代・50代になったとき、どんな働き方を選びたいかは、今の時点では分かりません。
専門性に加えて学位があることで、選択肢が増えるのは間違いない。
今しんどくても、将来「あのとき行っておけばよかった」と後悔するよりはマシだと思いました。
正直に言うと、研究へのモチベーションは高くない
臨床の方が好きだけど、それでも進学する理由
現場で患者さんと向き合っている時間の方が、圧倒的に性に合っています。
研究に情熱を燃やしている同期を見ると、正直うらやましくもあります。
それでも大学院に行くのは、「研究そのもの」が目的ではなく、その先にある選択肢や信用、ネットワークが必要だと感じたから。
綺麗事ではなく、それが本音です。
テーマ選びは「興味」より「続けられるか」を重視
完璧に興味のあるテーマを探すより、指導教官との相性や、データが取りやすい環境かどうかを優先しました。
どんなにテーマが魅力的でも、途中で詰んでしまったら意味がないからです。
目標は「論文を通すこと」。
そのために、あえて現実的な選択をしました。
いちばんの不安は、やっぱりお金のこと
収入は実際どれくらい下がるのか
常勤からいったん離れるため、収入は確実に減ります。
大学院生としての給与はほぼゼロに近く、生活費はスポットバイトで補う形になります。
週に1〜2回のバイトを入れることで、ある程度はカバーできますが、それでも以前の7〜8割程度の収入になる見込みです。
ここは家計を見直すタイミングでもありました。
実際に見直したことは、例えば以下のような点です。
- 固定費の削減(保険・通信費など)
- クレジットカードのポイント還元率を意識した支払い方法の変更
- 積立投資の継続可否の再検討
収入が減るからこそ、お金の流れを「見える化」することが必要でした。
証券口座の整理や家計管理アプリの導入も、このタイミングで本格的に始めました。
子ども2人の教育費を考えると不安は尽きない
今は小学生と保育園児ですが、これから中学・高校・大学と進むにつれて、教育費は確実に増えていきます。
大学院の3〜4年間で収入が減ることが、将来的にどれくらい影響するのかは、正直読めません。
それでも、今投資しておくことで40代以降の収入が安定する、あるいは選択肢が増えると考えれば、トータルではプラスになるはず。
そう信じてやっています。
家庭への影響は、想像以上に大きかった
妻の理解がなければ成立しない選択
うちは共働き医師家庭ですが、それでも妻の負担は確実に増えました。
研究や講義、医局の雑務で時間が取られ、家事・育児の分担バランスが崩れる場面も出てきます。
進学を決める前に、何度も話し合いました。
「いつまで」「何のために」「収入はどうなるのか」を明確にしないと、家族の理解は得られません。
時間の余裕は確実に減る
大学院に行けば時間ができる――そんなイメージは完全に幻想でした。
実際には、講義・実験・論文執筆・医局の雑務に加えて、バイトも入れる必要があります。
家族との時間、自分の趣味の時間は明らかに減りました。
それを「今だけの我慢」と割り切れるかどうかが、進学を続けられるかの分かれ目だと感じています。
それでも大学院に行く意味はあると思っている
後悔しないための選択として
もし大学院に行かなかったら、40代になったとき「あの時やっておけば」と思う未来が見えました。
それが嫌だったから、今しんどくても進むことにしました。
正解かどうかは、まだ分かりません。
でも、少なくとも「選ばなかった後悔」は避けられます。
40代以降のキャリアを考えたときの布石
今はしんどいけど、将来的に専門医+学位という肩書きがあることで、働き方の選択肢は確実に増えます。
大学に残る、開業する、企業で働く、フリーランスになる。
どれを選ぶにしても、学位があるかないかで見られ方が変わるのは事実です。
「今しんどい」と「将来詰む」を天秤にかけたとき、前者を選びました。
同じように悩んでいる先生へ
正解は人それぞれ、でも情報は少なすぎる
ネットで調べても、出てくるのは「やってよかった」という成功談か、「絶対やめとけ」という極端な意見ばかり。
現実はもっとグレーで、メリットもデメリットも両方あります。
この記事が、そのグレーな部分を知るための一例になればと思っています。
誰かの背中を見て決めてもいい
自分も、先輩の姿を見て「この人みたいになりたい」と思ったから進学を決めました。
完全に自分の意志だけで決めたわけではありません。
それでもいいと思っています。
誰かの選択が、あなたの参考になるなら、それで十分です。
まとめ:迷いながらでも、前に進む
大学院進学は、万人に勧められる選択肢ではありません。
でも、自分にとっては「やらない後悔」を避けるための、必要なステップでした。
収入、時間、家族との関係――すべてが完璧にはいきません。
それでも、少しずつ前に進んでいます。
同じように悩んでいる先生がいたら、この記事が何かのヒントになれば嬉しいです。
