「便潜血陽性」を放置している人に、内視鏡医が言いたいこと
健診で「便潜血陽性」と出た。
でも症状はないし、去年も陽性だったけど何もなかったし、大腸カメラって準備が大変そうだし——そのまま放置している人が、思っているより多い。
内視鏡医として正直に言う。それは一番やってはいけないパターンだ。
便潜血検査とは何か
便潜血検査(FOB検査)は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査だ。大腸がん検診として広く使われており、2日分の便を採取して提出する。
陽性=大腸がん確定、ではない。陽性になる原因はいろいろある。
- 大腸ポリープ
- 痔
- 大腸炎
- そして大腸がん
研究や地域によって差はあるが、数%程度で大腸がん、さらに多くの人で大腸ポリープなどの異常が見つかる。陽性だからといって過度に怖がる必要はない。
ただし、逆に言えば——陽性になったとき、それが何によるものかは、大腸カメラを受けてみないとわからない。
「去年も陽性だったけど何もなかった」の罠
便潜血検査で一番こわいのは、陽性を放置することではなく、「毎年陽性だけど何もなかったから今年も大丈夫」という思い込みだ。
大腸がんは、小さなポリープが数年〜十数年かけてがんになる。去年までは良性だったポリープが、今年もそうとは限らない。
便潜血検査はあくまでスクリーニング(ふるい分け)だ。陽性が出た時点で、大腸カメラによる精密検査を受けることが前提の設計になっている。
陽性を放置するとどうなるか
内視鏡をやっていると、こういう患者さんに定期的に出会う。
「何年も便潜血陽性だったけど、忙しくて来られなくて……」
受けてみると、進行した大腸がんが見つかる。早期であれば内視鏡で切除できたはずのものが、手術が必要な段階になっている。
大腸がんは早期発見できれば、ほぼ治せるがんだ。ステージⅠなら5年生存率は9割以上だが、ステージⅣでは2割未満まで下がると言われている。早さが、結果を大きく変える。
「症状がないから大丈夫」は通じない
大腸がんは、かなり進行するまで症状が出にくい。血便・腹痛・体重減少といった症状が出る頃には、すでにステージが進んでいることが多い。
「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちに見つけるための検査」が便潜血であり、大腸カメラだ。
大腸カメラを受ける前に読んでほしい
「大腸カメラが怖い」「準備が大変そう」という人のために、以下の記事をまとめている。
まとめ:陽性が出たら、受けるだけでいい
便潜血陽性は、がん確定ではない。でも放置していい理由にもならない。
陽性が出たら大腸カメラを受ける。それだけでいい。何もなければそれで安心できるし、何かあれば早期に対処できる。どちらに転んでも、受けた方が得だ。
「忙しいから」「怖いから」「去年も大丈夫だったから」——その言い訳が、一番もったいない結果につながることがある。
