大腸カメラを予約したはいいけど、「前日は何を食べていいの?」「下剤ってどんな感じ?」「当日の流れがわからなくて不安」という方は多いです。この記事では、内視鏡専門医として日々大腸カメラをおこなっている立場から、前日・当日の準備について解説します。

なお、前処置のやり方は施設によってかなり違います。渡された説明書や指示がある場合は、そちらが最優先です。この記事は「なぜそうするのか」を理解するための補助として読んでください。

この記事でわかること
・前日に食べてよいもの/避けるもの
・下剤が飲みきれないとき、どう考えればいいか
・血液をサラサラにする薬を飲んでいる人が、いつ何を伝えるべきか

前日の食事|腸をきれいにするために

大腸カメラは腸の中がきれいでないと、ポリープや病変を見落とす可能性があります。前日の食事は検査の質に直結する大事な準備です。

食べてよいもの

消化が良く残りかすの少ない食事が基本です。白米・うどん・食パン・卵・豆腐・白身魚などが適しています。

食事の回数や時刻、いつまで食べてよいかは施設によって異なります。指示された範囲の中で、これらを選んでください。

避けるべきもの

繊維の多い野菜・きのこ・海藻・こんにゃく・種の多い果物・玄米・ごま・ナッツ類は避けてください。繊維が多いものと種のあるものは、腸に残りやすいのが理由です。

アルコールも前日は控えるよう指示されるのが一般的です。脱水につながり、前処置がうまくいかなくなることがあります。乳製品や脂肪の多い食品の扱いは施設によって違うので、説明書を確認してください。

内視鏡医の本音:前日の食事制限を守れていないと、腸の中に残渣が残って検査がやりにくくなります。施設から「検査食」が指定されている場合はそちらを使うのが確実です。「ちょっとくらいいいか」が検査の質を下げることがあるので、ここはしっかり守ってください。

下剤について|種類と飲み方のコツ

大腸カメラで多くの方が「一番しんどい」と言うのが下剤(腸管洗浄剤)です。ただ、種類は複数あり、飲む量も味も違います。

代表的なものにニフレックやモビプレップがありますが、どれを使うかは自分で選ぶものではありません。もともとの病気、腎臓や心臓の状態、便秘の程度、飲んでいる薬、過去の前処置がどうだったか——そういったものを踏まえて、医療機関が決めます。

飲む量や味の感じ方には、かなり個人差があります。

内視鏡医の本音:「あの下剤がしんどかった」という方は、次回の予約のときにそれを伝えてください。種類や飲み方を検討できることがあります。がまんして黙っている必要はありません。

当日の流れ|時系列でわかるスケジュール

検査数時間前

下剤を飲み始めます。施設によって自宅で飲む場合と、病院で飲む場合があります。

なお、水やお茶を飲んでよいかどうか、いつまで飲めるかは、鎮静を使うかどうかや検査の時刻によって変わります。渡された説明書に時刻の指示があれば、それに従ってください。

検査直前

便が透明〜薄い黄色で、固形のかすがほとんどない状態になったら、腸の準備が進んだ目安です。スタッフに確認してもらいます。

検査中

検査台に横になり、カメラを挿入します。鎮静・鎮痛を使う場合は眠くなる薬や痛み止めの注射をします。

観察だけなら10〜30分程度が目安ですが、腸の形、癒着の有無、前処置の状態、生検やポリープ切除をするかどうかで長くなります。

検査後

鎮静を使った場合はしばらく休んでから帰宅します。当日の車の運転は避けてください(施設からも同様の指示が出ます)。

食事は、観察のみで問題がなければ施設の指示に従って再開できます。ただし生検やポリープ切除をした場合は、食事・飲酒・運動に追加の制限がつくことがあります。当日の説明を必ず確認してください。

内服薬について|必ず事前に確認を

普段から薬を飲んでいる方は、予約のときか事前診察で、飲んでいる薬をすべて伝えてください。特に大事なのが、血液をサラサラにする薬です。

この薬には2種類あります。

  • 抗血小板薬:バイアスピリン(アスピリン)、プラビックスなど
  • 抗凝固薬:ワーファリン、エリキュース、イグザレルト、リクシアナ、プラザキサなど

よく一緒くたにされますが、働き方が違うので、扱いも変わります。「血をサラサラにする薬」とだけ覚えている方が多いので、お薬手帳を見せるのがいちばん確実です。

そして、ここが誤解されやすいところです。

観察だけの大腸カメラであれば、これらの薬を続けたまま受けられることが多いとされています。「検査=必ず休薬」ではありません。

一方で、生検やポリープ切除など出血をともなう処置をする可能性がある場合は、薬の種類、血栓ができるリスクの大きさ、腎臓の働きなどを踏まえて、続けるか・一時的に止めるか・処置だけ日を改めるかを個別に判断します。

いずれにしても、自己判断で止めないでください。薬を勝手に止めると、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓が起きるリスクが上がります。止めるかどうかは、処方している医師と検査を受ける施設が決めることです。

内視鏡医の本音:「この薬、検査前に飲んでよかったですか?」と当日に聞かれることがありますが、その時点では対応が難しいこともあります。予約時か事前診察のタイミングで、飲んでいる薬を全部伝えておくのが一番スムーズです。お薬手帳を持参するのがベストです。

外来でよくある誤解:「下剤は、全部飲みきらないといけない」

これはよく聞かれます。そして、必ずしもそうではありません。

下剤を飲む目的は「決められた量を飲みきること」ではなく、腸の中をきれいにすることです。便が透明〜薄い黄色で、固形のかすがほとんどなくなっていれば、洗浄が進んだ目安になります。

ただし、そこから先の判断は自分でしないでください。便の見た目だけでは、残っている量や検査までの時間まではわかりません。「もう飲まなくていいか」は施設に確認してもらうものです。

「あと500mL残ってるけど、もう限界」——そういうときは、無理に飲み続ける前にスタッフへ声をかけてください。状態を見て判断してもらえます。

逆に、自己判断で途中でやめてしまうのも避けてください。腸がきれいになっていない状態で検査をすると、見落としが出たり、後日やり直しになったりします。

つまり、飲みきるか・やめるかを自分で決めないこと。迷ったら連絡する。それだけです。

よくある質問

Q. 前日の夕食は、何時までに済ませればいいですか?

A. 施設から指定された時刻がある場合は、それに従ってください。指定がない場合は、遅い時間の食事は翌日まで残りやすいため、早めに済ませるのが基本です。判断に迷うようなら、予約先に確認しておくと安心です。

Q. 当日の朝、水やお茶は飲んでもいいですか?

A. 飲んでよいとされることが多いですが、いつまで飲めるかは、鎮静を使うかどうかや検査の時刻で変わります。これは誤嚥を防ぐための決まりなので、説明書に時刻の指示があればそちらを優先してください。牛乳、果肉入りのジュース、色の濃い飲み物は一般に避けます。

Q. 下剤を飲んでも、便がきれいになりません

A. 追加の下剤や浣腸で対応することがあります。自己判断でやめたり、指示以上に飲んだりせず、施設に連絡して指示を受けてください。なお、強い腹痛・吐き気・嘔吐があるときは、いったん飲むのを止めて連絡してください。がまんして飲み続ける場面ではありません。

Q. 前日に、食べてはいけないものを食べてしまいました

A. 少量なら問題にならないことが多いですが、量が多かったり、種や皮の多いものだったりすると残りやすくなります。当日、スタッフに正直に伝えてください。検査の安全性と精度に関わるので、黙っているより伝えてもらったほうが対応できます。

Q. 生理中でも受けられますか?

A. 通常は受けられます。月経そのものが観察の妨げになることは一般的ではありません。ただし、出血量が多い、強い腹痛や体調不良がある、日程を変えたいといった場合は、予約先に相談してください。

まとめ

大腸カメラの準備は「前日の食事」「下剤」「内服薬の確認」の3点が特に重要です。そして、そのどれもが施設ごとの指示が最優先になります。

  • 前日は消化の良い食事。繊維の多い野菜・きのこ・海藻・種の多い果物は避ける
  • 下剤の種類は医療機関が体の状態を見て決める。しんどければ次回の予約時に伝える
  • 飲みきるか・やめるかを自分で判断せず、迷ったら施設に連絡する
  • 血液をサラサラにする薬は、観察のみなら続けたまま受けられることが多い。ただし自己判断で止めない
  • 鎮静を使った場合は当日の車の運転はNG
  • 生検やポリープ切除をした場合は、食事・飲酒・運動に追加の制限がつくことがある

▶ 大腸カメラのことを、段階ごとにまとめました
準備が済んだら、次は「検査が終わったあと」の話になる。結果の受け取り方まで含めて1ページに整理している。大腸カメラのすべて|怖い・費用・準備・結果まで、内視鏡医がまとめて答える

参考
・日本消化器内視鏡学会「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン——直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017」
・日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン 第2版(2020年)」
・日本大腸肛門病学会「市民のみなさまへ」(大腸内視鏡検査)
・医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品 添付文書情報(腸管洗浄剤)
※本記事は一般的な情報提供です。前処置の方法、下剤の種類、薬の休薬の判断は、施設や個人の状態によって異なります。実際の指示は受診先の説明に従ってください。

最終更新:2026年9月

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コンビニ医
消化器内科医2桁年目。胃腸・内視鏡・当直の話から、家事・時短・車・投資まで。忙しい人の暮らしを少しラクにする情報をゆるく発信。