「胃カメラ、怖くて受けられないんです」

気持ちはわかります。口からスコープを入れる、おえってなる、苦しそう——そういうイメージが先行して、何年も先送りにしている人が一定数います。

でも、そういう人たちが知らないことが、たった一つあります。

この記事でわかること
・胃カメラの「怖い」を減らす方法(鎮静剤・鼻からのカメラ)
・鎮静剤を使うときに知っておきたいリスクと当日の注意
・どんな人が胃カメラを考えたほうがいいか

それは「鎮静剤」の存在です

うとうとした状態で胃カメラを受けられる方法があります。

静脈から鎮静剤を入れると、うとうとした状態になります。検査への不安や不快感が和らぎ、苦しさを感じにくくなります。私の外来でも、検査が終わってから「もう終わったんですか?」と言われることがあります(薬の作用で検査中のことを覚えていない場合もあり、効き方には個人差があります)。

「胃カメラが怖い」という人にとって、鎮静剤は検査への不安や不快感を軽くする選択肢の一つです。ただし、使えるかどうかは体の状態や施設、検査の目的によって決まり、リスクもゼロではありません(後で書きます)。なお、自治体などの胃がん検診(対策型検診)で胃カメラを受ける場合は、鎮静剤を使わないことが原則とされています。予約のときに確認してください。

なぜ怖いのか、整理しておきます

患者さんからよく聞く怖い理由は主に2つです。

「おえってなりますよね?」

なる人となりにくい人がいます。嘔吐反射(咽頭反射)の強さは個人差が大きく、スコープが喉の奥に触れると強くえずいてしまう方がいます。過去の胃カメラがつらかった人の多くはこれが原因です。鎮静剤を使うと、検査への不安や不快感は軽くできますが、「おえっ」となる反応がなくなるとは限りません。効き方には個人差があります。

「スコープって太いんですか?」

機種によって違いますが、通常の経口内視鏡(口から入れるタイプ)の直径は約8〜9mmです。「思ったより細い」という人もいれば「十分太い」と感じる人もいます。スコープ自体の太さより、異物が喉を通る感覚の方が不快感の本体という方が多いです。

なお、経鼻内視鏡(鼻から入れるタイプ)は直径約5〜6mmと細く、喉を通らないため嘔吐反射が起きにくいです。鎮静剤が使えない方や、希望される方に選択肢として提示しています。

外来でよくある誤解:「おえっとなるのは、我慢するしかない」

「前回つらかったけど、胃カメラはそういうものだから」と我慢している方がいます。でも、つらさを減らす方法はいくつかあります。鎮静剤を使う、鼻から入れる細いカメラ(経鼻内視鏡)にする、のどの麻酔をしっかり効かせる、などです。前回つらかった方は、予約のときにそのことを必ず伝えてください。

鎮静剤を使う場合の注意点

鎮静剤には、呼吸が弱くなる、血圧が下がるといった副作用が起こることがあります。そのため、検査中と検査後は体の状態を確認しながら使い、回復を確かめてから帰っていただきます。心臓や肺の病気、睡眠時無呼吸症候群がある方、妊娠中・授乳中の方、ご高齢の方は、事前に必ず伝えてください。

そしてもう一つ。鎮静剤を使った日は、車・バイク・自転車の運転ができません。薬の影響が残るため、公共交通機関か送迎で来てください。

胃カメラの流れ

  • 前日:夕食は早めに済ませ、夜からは絶食(時間や、水・お茶を飲んでよいかは施設の指示に従う)
  • 当日:消泡剤を飲んでから検査。鎮静剤を希望する場合は点滴を入れます
  • 検査時間:観察のみなら5〜10分程度
  • 検査後:鎮静剤を使った場合は、回復するまでしばらく休みます(時間は施設や体の状態による)

こんな人は胃カメラを考えてほしい

  • 胸焼け・みぞおちの痛みが続いている
  • 食欲がない・体重が落ちてきた
  • ピロリ菌陽性と言われた
  • 家族に胃がん・食道がんの人がいる
  • 50歳以上で、胃がん検診を受けていない(国の胃がん検診は、50歳以上が2年に1回、バリウムか胃カメラのどちらかを受けるのが基本)

よくある質問

Q. 鼻からのカメラと口からのカメラ、どちらがいいですか?

A. 鼻からのカメラは細く、おえっとなりにくいのが利点です。一方、鼻の通りが狭い方は痛みや鼻血が出ることがあり、詳しい検査や処置では口からのカメラが向くこともあります。どちらがいいかは、検査の目的と体の状態をふまえて相談してください。

Q. 鎮静剤を使ったら、検査の結果はいつ聞けますか?

A. 鎮静剤を使った直後は、説明を覚えていないことがあります。施設によっては、回復してから説明したり、後日の外来で説明したりします。組織を取った場合は、その結果は後日になります。

まとめ

胃カメラが怖くて先送りにしている人に伝えたいのは一つだけです。鎮静剤という選択肢があり、怖さはかなり軽くできます。

症状があるのに怖くて先送りにするのは、一番もったいないことです。受けてみようと思った方は、かかりつけの消化器内科に「鎮静剤は使えますか?」「鼻からのカメラはできますか?」と聞いてみてください。バリウム検査との違いが気になる方はバリウムと胃カメラを比べた記事も読んでみてください。

→ その胸焼け、逆流性食道炎かも?症状セルフチェックリスト
→ ピロリ菌、除菌した方がいい?消化器内科医が正直に答えます

最終更新:2026年10月

参考
・日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」(2020年)
・国立がん研究センター「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版」
・国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん検診について」
・日本消化器がん検診学会「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2024 改訂第2版」
・日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡Q&A(経鼻内視鏡について)
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療方針は主治医にご相談ください。

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コンビニ医
消化器内科医2桁年目。胃腸・内視鏡・当直の話から、家事・時短・車・投資まで。忙しい人の暮らしを少しラクにする情報をゆるく発信。