ピロリ菌を除菌したら、その後どうなるのか|治療の流れ・確認検査・フォローまで
「ピロリ菌が見つかりました。除菌しましょう。」
そう言われて除菌治療を始めた人が次に気になるのは、「除菌して、その後どうなるんですか?」という話だ。
除菌すべきかどうかの理由については別の記事で詳しく書いた。今回は「除菌を決めた後」——治療の流れ・副作用・確認検査・除菌後のフォローアップに絞って解説する。
除菌治療の流れ
ピロリ菌の除菌治療は、3種類の薬(胃薬1種+抗生剤2種)を7日間飲むだけだ。入院は不要で、外来で処方してもらえる。
使われる薬の組み合わせ(一次除菌):
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB):胃酸を抑えて薬が効きやすい環境をつくる。近年は日本ではP-CAB(ボノプラザン)ベースが主流になりつつある
- アモキシシリン(ペニシリン系抗生剤)
- クラリスロマイシン(マクロライド系抗生剤)
この3剤を朝晩2回、7日間飲み続ける。飲み忘れると除菌率が下がるので、飲み切ることが重要だ。
副作用は出る?
副作用として多いのは下痢・軟便・味覚異常(苦味・金属味)・胃のむかつきあたりだ。抗生剤を7日間飲むので腸内環境が乱れやすく、下痢が出る人は一定数いる。
ただし多くは軽症で、飲み終わった後に自然に改善する。「副作用がつらいから途中でやめた」という人を外来で見ることがあるが、中断すると除菌が失敗するだけでなく、抗生剤に耐性を持ったピロリ菌が残るリスクがある。副作用がつらい場合は自己判断でやめず、処方した医師に相談してほしい。
除菌できたかどうか、必ず確認する
7日間の投薬が終わっても、それで終わりではない。除菌が成功したかどうかの確認検査が必要だ。
確認検査は、抗菌薬の投薬終了から4週間以上あけてから行う。早すぎると正確な結果が出ないためだ。また、正確な判定のために胃薬(PPI・P-CAB)も検査前に一定期間中止する必要がある。詳細は主治医の指示に従ってほしい。
よく使われる確認方法:
- 尿素呼気試験(UBT):特殊な薬を飲んで呼気を採取するだけ。外来で短時間で完結する。精度が高く最もよく使われる
- 便中抗原検査:便を採取して菌の抗原を調べる。精度はUBTと同等
一次除菌の成功率は約70〜90%(使用する薬剤や菌の耐性の影響を受ける)。失敗した場合は抗生剤の種類を変えて二次除菌を行う。二次除菌まで含めると成功率はさらに高くなる。
除菌後、胃がんリスクはどう変わるのか
除菌に成功すると、胃がん発症リスクは下がる。これは複数の大規模研究で示されており、除菌しない場合と比べてリスクが約30〜50%低下するとされている。
ただし、除菌しても胃がんリスクがゼロになるわけではない。ピロリ菌に長年感染していた胃粘膜は、除菌後も「萎縮性胃炎」という状態が残ることがある。この状態では除菌後も胃がんが発生するリスクが残るため、定期的な胃内視鏡検査(胃カメラ)が必要だ。
「除菌したから大丈夫」と思って内視鏡をやめてしまう人が一定数いるが、それは危険なので注意してほしい。
除菌後のフォローアップ——どのくらいの頻度で検査すべきか
除菌後のフォロー内視鏡の頻度は、感染期間・萎縮の程度・年齢などによって異なる。一般的な目安:
- 萎縮が軽度:1〜2年に1回の胃カメラ
- 萎縮が中等度〜高度:毎年の胃カメラが望ましい
- 腸上皮化生(胃粘膜の変化の一種)を伴う場合:より慎重なフォローが必要
「萎縮の程度」は胃カメラで確認できる。除菌後の最初の内視鏡でその後のフォロー間隔を相談するのが理想的だ。
除菌後に症状が改善することもある
胃がんリスク以外の変化として、除菌後に胃の症状(胃もたれ・胃痛・膨満感)が改善したと感じる人は一定数いる。ただし、症状の改善には個人差が大きく、除菌したからといって必ず楽になるわけではない。
また、一部の人では除菌後に逆流性食道炎の症状が出やすくなることがある。特に萎縮が強い人で変化が出やすく、ピロリ菌が抑えていた胃酸の分泌が除菌後に回復することが原因とされる。胸焼けなどの症状が出た場合は主治医に相談してほしい。
まとめ
- 除菌治療は3剤を7日間飲むだけ。入院不要、外来で完結
- 副作用(下痢・味覚異常)が出ることがあるが、自己判断で中断しない
- 投薬終了4週間後に確認検査(尿素呼気試験など)を必ず受ける。胃薬の休薬も忘れずに
- 除菌成功で胃がんリスクは下がるが、ゼロにはならない
- 除菌後も定期的な胃カメラは継続する。「除菌したから終わり」ではない
除菌はゴールではなく、胃を守るためのスタートだ。治療後のフォローをきちんと続けることが、長期的に意味のある除菌になる。
