痔は珍しい病気じゃない

日本人の約3人に1人が一生のうちに痔を経験すると言われている。それだけ身近な病気なのに、「恥ずかしいから」「大したことないだろう」と放置している人が多い。

消化器内科医として日常診療で多くの痔の患者さんを診ているが、症状で長期間悩んでいた人が受診してすっきり解決できたケースを外来で繰り返し経験している。逆に、放置しすぎて悪化したケースも見ている。この記事では、痔の種類・放置のリスク・受診の目安を整理する。

痔の主な種類

① 内痔核(ないじかく)

肛門の内側にできるいぼ痔。初期は痛みがなく、排便時の出血やいぼが外に出てくる感覚で気づくことが多い。痛みがないため放置しやすいが、進行すると脱出が戻らなくなる。

② 外痔核(がいじかく)

肛門の外側にできるいぼ痔。血栓(血の塊)ができると急に強い痛みが出ることがある。内痔核と比べて痛みが出やすく、自分で気づきやすい。

③ 裂肛(れっこう)

肛門の皮膚が切れた状態、いわゆる「切れ痔」だ。排便時の鋭い痛みと少量の出血が特徴。便秘や下痢が続くと繰り返しやすく、慢性化すると傷が深くなる。

④ 痔瘻(じろう)

肛門周囲に膿のトンネルができた状態。発熱・肛門周囲の腫れ・痛みが起きる。自然に治ることはなく、手術が必要になることが多い。4種類の中で最も放置してはいけないタイプで、長期間放置するとまれにがん化することもある(頻度は低いが注意が必要だ)。

痔は消化器内科でも診療できる

「痔は肛門科に行かないといけない」と思っている人が多いが、消化器内科でも診察・治療ができる。内視鏡検査(大腸カメラ)との組み合わせで、肛門から腸全体をまとめて評価することも可能だ。「どこに行けばいいかわからない」という人は、まず消化器内科に相談することを勧める。

血便は痔だけの問題じゃない

ここが一番重要なポイントだ。「血が出てるけど痔だろう」と自己判断して放置するのは危険だ。血便の原因は痔だけではなく、大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎なども血便を起こす。「血便 原因」を調べると痔が出てくることが多いが、痔と大腸がんが同時に存在することもある。

特に40歳以上で血便が続く場合は、痔と決めつけずに大腸カメラで腸全体を確認することを強く勧める。便潜血陽性と言われた人向けの記事も参考にしてほしい。

放置するとどうなるか

  • 内痔核:進行すると脱出が戻らなくなり、手術が必要になる
  • 裂肛:慢性化すると傷が深くなり、括約筋にまで影響が出ることがある
  • 痔瘻:放置すると膿のトンネルが複雑化し、手術が困難になる。長期放置でまれにがん化することもある
  • 共通:出血が続くと貧血になることがある

受診の目安

迷ったら「血が出た時点で相談する」が基本だ。以下に当てはまる場合は早めに受診を。

  • 排便時に血が出る(少量でも)
  • 肛門の痛みが続いている
  • 肛門周囲が腫れている・発熱がある(痔瘻の疑い)
  • 何かが出てきている感じがある(脱出)
  • 40歳以上で血便がある(大腸カメラを勧める)
  • 市販薬を使っても2週間以上改善しない

日常生活でできること

  • 便秘を防ぐ:食物繊維・水分を十分に摂る
  • 長時間のトイレを避ける:いきみすぎ・座りすぎが悪化につながる
  • 患部を清潔に保つ:シャワーで洗う
  • クッションを使う:長時間座る仕事の人は患部への圧迫を和らげる工夫を

クッションについては、低反発の円座クッションが実際に楽になると好評だ。実際に使ったレビューはこちら

まとめ

  • 痔は約3人に1人が一生のうちに経験する、珍しくない病気
  • 内痔核・外痔核・裂肛・痔瘻の4種類があり、対応が異なる
  • 血便を痔と決めつけるのは危険。40歳以上は大腸カメラを
  • 痔瘻は放置NG。発熱・腫れがあれば早めに受診を
  • 消化器内科でも診られる。迷ったらまず相談を

「恥ずかしいから」で放置するより、早めに受診した方が結果的に楽になれる。

ABOUT ME
コンビニ医
消化器内科医10年目。内視鏡専門医・大学院生・2児の父。 忙しい勤務医目線で「本当に使えるもの」「本当に正しい医療情報」だけを発信します。