大腸がんは、症状が出にくいがんだ

大腸がんは日本では男女計のがん罹患数で1位、死亡数でも常に上位に入る非常に身近ながんだ。それだけ多いのに、「症状が出てから受診する」人がまだ多い。

問題は、大腸がんが早期にはほとんど症状を出さないことだ。進行していても無症状のことは珍しくない。血便・腹痛・体重減少といった症状が出る頃には、すでに進行しているケースが少なくない。

内視鏡医として日々大腸カメラをやっている立場から言うと、早期で見つかったがんと進行がんでは、予後が全然違う。だから「症状がないうちに調べる」ことに意味がある。

大腸がんのリスクを上げる要因

大腸がんのリスク因子として、エビデンスが確認されているものを挙げる。

  • 年齢:40代から増加し始め、50代以降で急増する
  • 家族歴:一親等に大腸がん・大腸ポリープの人がいると2〜3倍リスクが上がる
  • 赤肉・加工肉の過剰摂取:WHO国際がん研究機関(IARC)がリスク因子と認定。加工肉50g/日ごとにリスクが約18%上昇するとのデータもある
  • 飲酒・喫煙:どちらも大腸がんリスクと関連
  • 肥満・運動不足:身体活動の低さはリスクを上げる
  • 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患:長期罹患でリスクが上昇

年齢と家族歴は変えられないが、食事・飲酒・運動は今日から変えられる。

予防のためにできること

食物繊維を増やす

食物繊維の摂取量と大腸がんリスクの低下には相関が複数の研究で示されている。野菜・豆類・全粒穀物を意識的に増やすことが基本だ。

赤肉・加工肉を減らす

牛肉・豚肉などの赤肉、ハム・ソーセージなどの加工肉の過剰摂取はリスクを上げる。「ゼロにする」必要はないが、毎食肉類だけという状態は避けたい。

適度な運動を続ける

身体活動の増加は大腸がんリスクを下げることが複数の研究で示されている。ハードな運動でなくてもよく、毎日30分程度のウォーキングでも効果が期待できる。

飲酒・喫煙を控える

アルコールと喫煙はどちらもリスク因子だ。完全にやめることが理想だが、まずは量を減らすことから始めればいい。

スクリーニング検査:便潜血と大腸カメラ

便潜血検査(大腸がん検診)

日本では40歳以上を対象に、毎年便潜血検査を受けることが推奨されている。便に血液が混じっていないかを調べるもので、自治体の大腸がん検診として実施されている。

陽性が出た場合は必ず大腸カメラで精密検査を受けてほしい。「陽性=がん確定」ではないが、放置は絶対にNGだ。便潜血陽性と言われたまま放置している人に向けては、別の記事で詳しく書いた。

大腸カメラ(内視鏡検査)

便潜血検査を定期的に受けながら、一度は大腸カメラを受けておくことを勧めている。ポリープの段階で発見・切除することで、がんになる前に対処できる。家族歴がある人や気になる症状がある人は、かかりつけ医に早めに相談してほしい。

大腸カメラについては以下の記事にまとめてある。

まとめ:症状が出る前に動くことが全て

  • 大腸がんは早期にはほぼ無症状。進行していても気づかないことがある
  • 食物繊維を増やし、赤肉・加工肉・飲酒・喫煙を減らす
  • 運動習慣をつける
  • 40歳以降は便潜血検査を毎年受ける。一度は大腸カメラも受けておく
  • 便潜血陽性は必ず精密検査へ

「症状がないから大丈夫」は大腸がんには通用しない。早めに動いておくことが、一番の予防だ。

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コンビニ医
消化器内科医10年目。内視鏡専門医・大学院生・2児の父。 忙しい勤務医目線で「本当に使えるもの」「本当に正しい医療情報」だけを発信します。